職場で自分が出した成果が、
いつの間にか上司の手柄として
報告されている。
こうした状況に直面すると、
不満や無力感を覚えるのは
自然な感情です。
しかし、この現象は個人の能力や
性格の問題ではなく、
組織という構造の中で生まれる
必然でもあります。
まず理解すべきは、
「組織における手柄の分配」は
必ずしも公平や実力主義ではない
ということです。
上司は部下の成果を報告・演出する立場にあり、
上層部との接点も持っています。
そのため、部下の努力や結果を
自らのマネジメント能力として提示することで、
自身の評価を高めるインセンティブが働きます。
この構造には、
組織の生存戦略という側面もあります。
役職者は、自分のチームや部門の成果によって
存在価値が測られるため、
「部下の活躍=自分の成果」
として一体化させる方が、
組織内での地位を守りやすいのです。
これは個人の倫理観というよりも、
サバイバル本能に近いものと考えると
理解が深まります。
では、こうした状況に対して
何ができるのか。
ポイントは、
「成果を記録として残し、
関係者と共有しておく」
ことです。
議事録、提案資料、メールのCCなどを通じて、
誰が何をしたかを透明にし、
客観的な履歴として示すことが有効です。
また、チーム全体で成果を振り返る場を設け、
自発的に発言することで、
自身の関与を自然に可視化していくことも
有効です。
もう一つの選択肢は、
「その上司の評価構造に合わせて、
自分の存在意義を戦略的に組み込む」
ことです。
つまり、上司が上にアピールしやすくなるような
成果の出し方や、報告のタイミングを工夫することで、
「利用されつつも、確実に恩恵を受ける」
という立ち回りをとるのです。
理不尽に見える場面の多くは、
構造を知ることで冷静に整理できます。
感情的に反応するより、
合理的に戦略を立てること。
これが、組織内で生き残りながら、
自分の影響力を広げていく鍵です。