「自分がいないと回らない」
「代われる人がいないから休めない」
こうした状態は、一見すると
責任感の強さの表れのように見えます。
しかし、実際には非常に
危うい状態です。
自分しかできないという状態は、
裏を返せば次のことを意味します。
・仕組みが整っていない
・属人化している
・再現性がない
そしてこの構造を長期間続けると、
本人は常に緊張状態で動き続け、
心身が静かに摩耗していきます。
本質的に、仕事も役割も
“仕組み化”されていなければ
持続性がありません。
仮に今は健康でも、体調不良や
家庭の事情、人生の転機など、
想定外の変化は必ず訪れます。
そんな時に「自分がいないと崩れる」
仕組みで動いている組織や仕事は、
本人にとっても周囲にとっても
キケンな状態です。
また、「代わりがいない=価値がある」
という誤解もよく見られます。
実際には、
・誰でも再現できるのに
成果が出る仕組みをつくれる人
ほど、本質的な価値を
生み出せる存在です。
逆に、自分にしかできないやり方で
抱え込むほど、
周囲も成長機会を奪われ、
組織全体の可能性が狭まります。
大切なのは、
「休むために仕組みを整える」
という逆算思考です。
・マニュアル化
・権限移譲
・作業の棚卸し
・報告体制の明確化
こうした設計は一見
遠回りに思えます。
しかし結果的に最も生産性が高く、
自由度の高い状態を生み出します。
そして何より、休むという行為は
「未来を設計する時間」でもあります。
立ち止まることで視野が広がり、
新しい視点や解決策が生まれる
余白ができます。
これは単なる回復ではなく、
進化のための投資です。
「休めない」という言葉の裏には、
「自分を代替不可能な存在にしている」
という設計ミスがあります。
持続可能な働き方とは、
「自分がいなくても回る仕組みをつくる」
「そのうえで価値を生み出す構造にシフトする」
ということです。
休むための工夫が、長期的には
最も成果につながるという視点こそ、
これからの時代に必要な思考です。