職場での競争が激しくなると、
人はしばしば疲弊します。
成績、昇進、成果主義など、
目に見える評価が繰り返される環境では、
「勝たなければ価値がない」
という空気が生まれやすくなります。
こうした空気の中で長く過ごすと、
仲間というよりライバルとして
同僚を見るようになり、
安心感よりも警戒心が
先に立つようになります。
結果、常に気を張った状態が続き、
精神的な摩耗が蓄積していきます。
本来、職場はチームで
価値を生む場所であるべきです。
ところが、個人評価が重視されすぎると、
人間関係の信頼が揺らぎ、
情報共有も減り、
孤独な戦いになってしまいます。
この孤独感こそが、
辞めたいと感じる
最大の要因となります。
競争には表と裏があります。
表面では成果を高める
動機づけとなりますが、
裏では協調性や創造性を削ぐ
リスクが伴います。
とくに、
「勝っても報われない」
「負ければ否定される」
という構造では、
どちらを選んでも
消耗が避けられません。
一方で、
すべての競争が悪
というわけではありません。
競争が成長の材料となるケースも多く、
自分の限界を超えるきっかけになる
こともあります。
重要なのは、
「どのような土俵で、
誰と競っているのか」
という視点です。
仮に、その職場が
自分の強みと無関係な競争で
満ちているならば、
それは単なる消耗戦です。
逆に、
自分の得意領域であれば、
競争はむしろ
自己成長の場にもなります。
したがって、
「辞めたい」という感情を感じたときは、
環境のせいにする前に、
「この競争は自分にとって
価値あるものか」
を見極めることが先決です。
もし価値を感じられないなら、
その場所に留まる理由は
薄くなります。
理想は、競争の中でも
自己成長が続く環境に
身を置くことです。
それが無理なら、
自分でそうした環境を選び取る力が
必要です。
自分を活かせる土俵を選ぶことは、
大人の処世術の1つです。
ほんの少し、意識を変えるだけで、
仕事を通して、人間としての能力を
一気に高めることができたりします。