「うちは成果主義です」
と掲げている会社であっても、

実際に蓋を開けてみれば
年齢や在籍年数で評価や昇進が決まる構図は
珍しくありません。

この矛盾は、組織の内側にいる人間ほど
強く感じやすく、モチベーションの低下や
離職の原因にもつながります。

そもそも成果主義とは、
「実際に生み出した価値や結果に応じて
評価や報酬が決まる」仕組みを指します。

対して年功序列は、
「年齢や勤続年数」によって段階的に
地位や収入が上がる仕組みです。

このふたつは理念としては明確に異なりますが、
現実には混在し、結果として

「若手がどれだけ成果を出しても、
年上が優先される」

という構造が温存されているケースが
多く見られます。

この背景には、企業側の
「リスク回避意識」があります。

大胆な成果主義を導入すれば、
組織内に競争と不満が増え、
離脱者が増える恐れがあります。

また、上層部の多くが
年功序列で昇進してきた経験を持つため、
無意識のうちに「自分たちのルール」を
維持しようとする傾向も強くなります。

さらに、「成果の定義が曖昧であること」も
原因の一つです。

営業のように数字で成果が見える仕事は少数で、
多くの業務はプロセスや協調性、
空気を読む力など、評価者の主観に
委ねられます。

この曖昧さが、実質的な年功序列の
温床になります。

では、どう向き合えば良いのか。

大切なのは、
「成果主義が機能していない」
と見抜いた時点で、

社内における戦い方を
見直すことです。

昇進や報酬を求めるなら、
成果以上に「組織の価値観に合った振る舞い」
を選ぶ必要があります。

一方で、「外で評価される力」
を高めておくことで、
環境を選ぶ自由を持つことも可能です。

組織の構造はすぐには変わりません。

しかし、その構造を見抜き、
自らの位置づけと目標を定めることで、
状況に翻弄されず
主体的な選択ができるようになります。

表向きの制度に期待するより、
自らの戦略に軸を置くこと。

それが、成果主義と年功序列の狭間を
生き抜く知恵です。